本荘地区の神々
○本荘の地名
本荘は、本庄とも書き、金華山の西方、長良・伊自良両川の合流地点南東に位置します。
地名の由来は、美濃国厚見郡平田荘(京都長講堂領荘園)の中心であったことによるとの説が有力です。江戸時代には加納藩領で、江戸後期には鳥屋村と改称しました。本荘鳥屋村の中に観音寺村、三股村、森屋村、荒屋村、中村、島田村、鍵屋村、千手堂村がありました。
明治23年には厚見郡本荘村となり、明治30年稲葉郡本荘村、昭和6年岐阜市と合併後、順次新しい町名が出来て本荘の町名は旧村の一部となり、今日に至っています。
○本荘部会の神々
神社は、本荘神社のほか、多羅野に八幡、島田に神明、熊野前に熊野、森屋に神明、鳥屋前に八幡、下神戸に阿賀多、香蘭に稲荷の各社が鎮座しています。
岐阜県神社庁岐阜市支部に本荘部会があり、次の8社が属しています。
- 岐阜市本荘1926番地 鎮座
- 祭神 伊弉諾尊(いざなぎのみこと)
- 由緒不詳。
昔、村に蟻が繁殖した時、蟻一匹と、砂糖を持って神社にお願いにいくと、不思議に蟻がいなくなりました。「蟻食い神社」と言われています。 - 主な祭典
4月 4日 春祭(例祭) 10月12日 秋祭
- 岐阜市本荘2956番地 鎮座
- 祭神 応神天皇(第15代・おうじんてんのう)
- 由緒不詳。加賀の殿様の家臣であった氏子が加納藩に転勤の折、八幡社を勧請したと伝えています。
元来は小塩氏の氏神として祀られ、後、村全体の氏神様として祀られています。 - 主な祭典
1月 1日 元旦祭 1月15日 左義長神事 4月 4日 春祭(例祭)
- 岐阜市鹿島町8丁目25・26番地 鎮座
- 祭神 応神天皇おうじんてんのう・八幡神社)
菅原道真(すがはらのみちざね・天満神社)
火産霊之神(ほむすびのかみ・秋葉神社) - 由緒 元禄年中の勧請との伝承があります。
はじめ3箇所に祀られていた八幡神社・天満神社・秋葉神社を大正9年に合併しました。
- 主な祭典
1月 1日 歳旦祭 2月15日 秋葉神社祭 4月 5日 八幡神社祭 10月 5日 天神神社祭 - 多羅里(だらり)の伝説
昔この神社附近に家もなく背丈ほどの笹が生い茂り、盗賊が潜んでいて、おいはぎが出没したことから「盗人の宮」と呼ばれていました。
また、多羅里は加納宿と合渡宿の真ん中の間宿(あいのしゅく)で、旅人が休憩する場所でありました。「松屋」という茶屋があり、旅人の間で「だらり餅」というあんころ餅が名物として知られていました。「だらり名物は、あんころ餅藤の棚」「行こうか合渡へ 帰ろうか加納へ ここが思案の だらり餅」と謡われるほどでありました。
- 岐阜市南本荘一条通20番地 鎮座
- 祭神 仁徳天皇(第16代・にんとくてんのう)
- 由緒 応仁年中に勧請と伝えています。
角藤大夫遺跡の碑があります。 - 主な祭典
1月 1日 元旦祭 1月 14日 左義長神事 4月 4日 春祭(例祭) 10月体育の日 秋祭(秋葉神社)
- 岐阜市香蘭2丁目91番地
- 祭神 倉稲魂命(うかのみたまのみこと)
倭姫命(やまとひめのみこと・斎宮神社) - 由緒 往古、観音寺(鏡島弘法・乙津寺の末寺)の鬼門鎮守の神として鎮座したと伝えています。
明治8年地租改正により独立の神社となったと伝えています。昔は「養蚕の神様」として広く信仰され、現在は商売繁盛の神様として親しまれています。
昭和5年に三股に祀られていた斎宮神社を合祀しました。俗に「やかん様」と称されています。 - 主な祭典
3月第4日曜 初午祭 11月第4日曜日 秋祭
- 岐阜市島田西町3番地
- 祭神 天照大御神(あまてらすおおみかみ)
伊勢神宮・内宮に祀られる神様・皇祖神。 - 由緒不詳。
- 主な祭典
1月14日 左義長神事 4月 4日 春祭 10月14日 秋祭 10月23日 秋葉祭
- 岐阜市寿町7丁目15番地
- 祭神 天照皇大神(あまてらすすめおおかみ)
伊勢神宮・内宮に祀られる神様。皇祖神。 - 由緒不詳。
- おもな祭典
1月 15日 左義長神事 4月 4日 春祭(例祭) 9月第3日曜日 秋葉祭 10月第3日曜日 秋祭
※氏神さまと産土神さま~血縁から地縁の神へ
神社神道は、自然崇拝・祖先崇拝に端を発する信仰です。 氏神さまとは同族意識で結ばれた「血縁集団」が祀る祖先神を云います。 一族を統率する人を「氏上」と云い、その「氏」に属する氏人を「氏子」と称します。即ち、氏上が氏子を率いて氏神(祖神)に村の安全と繁栄を祈ったのが神社の起こりといわれています。
また、産土神(うぶすなのかみ)さまとは、生まれた土地の神さまをいいます。
古代社会は血縁集団を中心に「村」を形成していましたが、氏族制度の崩壊と共に様々な氏族が「村」に雑居するようになると本来的な氏神という概念が変化して、居住地を守護する神さま(鎮守神さま)や、生まれた土地に祀られる神さまを産土神と称して信奉しました。
中世以後、居住地の神さまを氏神と称することとなり、混同して今日に至っています。